株式会社テムザック

“X-ROID WE CREATE”医療、災害レスキュー、警備、コミュニケーションなど多様な実用ロボットを手掛けるワークロイドメーカー。

小児患者型ロボット「Pedia_Roid」を開発し、シミュレーターロボットによって医学教育の発展に寄与する株式会社テムザックの石井様にお話しを伺いました。3Dプリンターを用いて従来の工程を大幅に削減し、3~4ヵ月程度、工期を短縮した事例です。日本国内のみならず海外展開もされる小児患者型ロボットの開発をDMM.makeにご相談頂きました。

プロフィール

小児患者型ロボット「Pedia_Roid」を開発し、シミュレーターロボットによって医学教育の発展に寄与する株式会社テムザックの石井様にお話しを伺いました。3Dプリンターを用いて従来の工程を大幅に削減した事例です。

石井 佑典(いしい ゆうすけ)
株式会社テムザック 技術本部本部長 シミュレータ事業部 事業部長
小児患者型ロボット「Pedia_Roid」の開発責任者 兼 機械設計担当
入社以来災害救助ロボットから2足歩行ロボットなど大小問わず様々なロボットの機械設計を担当。8年前に大人の歯科患者型ロボット「DENTAROiD」を手掛けた際、子供の歯科治療の困難さを知る。そこで、小児の患者型シミュレーターロボットの必要性を感じ、現在の開発に至る。21年には教育現場を変える・支えるロボットとして国内のみならず、世界を視野に入れた事業展開を予定している。

川岸 孝輔(かわぎし こうすけ)
DMM.make 3Dプリント部門部長。メーカーで製品企画から外装設計、電子回路設計、コーディングとマルチエンジニアとして勤務し、数々の商品を世に送り出した経歴をもつ。3Dプリントを利用した設計製造に新たな可能性を感じDMMに入社しシニアエンジニアを務めた後にサービスデザインの統括責任者となる。

DMM.make 3Dプリント 筧 春輝(かけひ はるき)

筧 春輝(かけひ はるき)
DMM.make 3Dプリント事業部 チーフモデラー。 大学卒業後DMMに入社し、3Dプリントサービス発足初期よりメンバーとして携わる。 現在は3Dプリント技術のマルチエンジニアとして、各種3Dプリンターのオペレーションをはじめ、3Dプリントのコンサルティングや3Dデータ作成などの業務に従事。

3Dプリンターで造形したシミュレーターロボットで小児医療教育に貢献

筧:
こんにちは。ご無沙汰しております。(笑)

石井様:
こんにちは。ご無沙汰しております。(笑)

川岸:
こんにちは。よろしくお願いいたします。石井様と筧は、ご面識がある感じでしょうか?

石井様:
御社で、持ち込みのスキャンをして頂きました。

川岸:
その時使った3Dスキャナーは、レーザータイプ?

筧:
アーテック(Artec)です。

川岸:
あ、じゃあ、ハンディだったんだね。

筧:
持ち込みの前にも、出張してスキャンさせて頂いた時もありましたね。

石井様:
そうですね。
現場に行って頂いて、結構、色々、お願いをさせて頂きました。(笑)

川岸:
 (笑)
本日は、インタビューをお受け頂き、誠にありがとうございます。(笑)

筧:
それでは、早速ですが、インタビューを始めさせて頂きます。

— 御社がどのような事業展開をされているか、お聞かせください。

小児患者型ロボット「Pedia_Roid」を開発し、シミュレーターロボットによって医学教育の発展に寄与する株式会社テムザックの石井様にお話しを伺いました。3Dプリンターを用いて従来の工程を大幅に削減した事例です。

石井様:
弊社は、工場で組み立てをするような産業用ロボットや、受付をするようなサービスロボットではなく、実際に人が行うときつい作業や、危険な作業や、人が出来ない事をするロボット等、様々な現場で人に代わる、もしくは人と共に働くロボット(ワークロイド)を開発・製造しております。

具体的には、災害救助用のロボットであったり、先日、発表したロボットは、線路のメンテナンス作業をする保線ロボットですね。

都会のほうですと、終電が遅くて始発が早いので、夜間の短い時間の中で線路の修理を行わなければなりません。

また、少子高齢化が進む中、労働力不足や作業員の高齢化が大きな問題となっています。

そこで少ない人数で効率的に作業できる、保線ロボットを開発しました。

筧:
人の代わりに働くロボットをメインで開発されているという事でしょうか?

石井様:
はい。その中でも、私の事業部は、患者型のシミュレーターロボットの開発をしております。

筧:
こちらのロボットは、筐体の部分も、組み込みの部分も全て、御社で設計されているのでしょうか?

石井様:
そうですね。基本的に全て設計をして、加工業者様に加工を依頼して、自分達で組み上げて調整しています。

川岸:
御社の患者型のシミュレーターロボットは、どのような領域になるのでしょうか?

石井様:
弊社のロボットは、歯学部の学生様に向けた、教育用ロボット(デンタロイド/DENTAROID)です。

小児患者型ロボット「Pedia_Roid」を開発し、シミュレーターロボットによって医学教育の発展に寄与する株式会社テムザックの石井様にお話しを伺いました。3Dプリンターを用いて従来の工程を大幅に削減した事例です。

今までは、動作しない頭部だけのマネキンを机に固定し、歯の模型を付けて、削る練習をしていました。

しかし、実際の患者様は、咳をしたり、痛がって頭をのけぞらせるといった不意な動作をしてしまうものです。つまり、従来の練習では、不意な動作には対応できませんでした。

歯学部の学生様は、そのような経験・トレーニングが出来ないまま、実際の現場に出ていき、それが、初年度の経験の浅い医師のインシデント・アクシデントにつながると考えました。

だから、学生のうちに、「患者はこういう風に動く」「危ない」という、ある意味「失敗を経験させる」事を目的に作ったロボットなのです。

川岸:
そうすると、患者型のシミュレーターロボットは、急に動いたり、口内の刺激があったりすると反応したりするのでしょうか?

石井様:
はい、要は学生を驚かせるという事でしょうか。集中して治療の練習をしていますので。

急に咳をしたり、頭を動かしたりします。舌の奥にセンサーを入れていますので、何か当たると嘔吐反射もします。

川岸:
このようなシミュレーターを使って経験を事前にしている場合、インシデントの割合が低下しているという情報はあったりするものでしょうか?

石井様:
国内は中々、そういった情報が追えない状況なんです。

ですけど、私たちも実際の実習に立ち会い、学生さんがマネキンの時とは違い、とてつもない緊張感を持ってトレーニングしている様子や、トレーニング後のアンケートで、必要性を感じたという数多くの結果からも、今までにない必要な教育ツールなんだと感じました。

国内では、都内にある大学の歯学部や、福岡にある大学の歯学部に導入されております。

海外では、サウジアラビアには、4校導入されています。他には、アメリカ、タイ、トルクメニスタン、ウイグル自治区に導入されています。

小児治療の教育現場でリアルな実践練習が可能

石井様:
今、ご説明させて頂いたロボットは、大人の患者型ロボットですが、小児患者型ロボット「Pedia_Roid(ペディアロイド)」を2020年10月に発表しました。

子供のほうが、歯科治療は難しいんです。

小児患者型ロボット「Pedia_Roid」を開発し、シミュレーターロボットによって医学教育の発展に寄与する株式会社テムザックの石井様にお話しを伺いました。3Dプリンターを用いて従来の工程を大幅に削減した事例です。

子供は、どうしてもじっとしていられないですし、泣いたりします。治療時間も1時間かかったりします。

また、子供は自分から具合が悪くなったと言えないんですよね。苦しくなった時とか。

ですので、大人の歯科治療より難しく、治療中は歯だけでなく全身の管理が必要なんです。

ただ、子供用のシミュレーターロボットは当然無かったので、小児歯科の医師は、より現場で経験を積んでいくしかなく、とても難しく事故が発生しやすいのです。

そこで、今回、小児患者型ロボットを開発したのですが、その際、御社のDMM.makeの3Dプリンター 出力サービスを採用させて頂きました。

小児患者型ロボット「Pedia_Roid」を開発し、シミュレーターロボットによって医学教育の発展に寄与する株式会社テムザックの石井様にお話しを伺いました。3Dプリンターを用いて従来の工程を大幅に削減した事例です。

川岸:
ありがとうございます。

筧:
3Dプリンターを利用した最終製品は、今、お話頂きました小児患者型ロボットになるという事ですね?

石井様:
はい。そうですね。

川岸:
先ほど、お話にあがりました災害救助用のロボットや、保線ロボットには、弊社の3Dプリンター 出力サービスが使えそうな部分はあったりするのでしょうか?

石井様:
外で利用するロボットなので、強度が必要なんです。

川岸:
要件的には、強度要件が満たす事ができれば、もしかしたら使えるかもしれないという所でしょうか?

石井様:
強度で言うと、板金で賄えてしまうので、コストや納期で何か秀でたメリットが無いと、置き換えは難しいかもしれないですね。

川岸:
弊社の3Dプリンター 出力サービスでは、チタンの造形を行っております。チタンですとおそらく強度要件を満たす事が出来るのではと考えています。

今、ご利用頂いている素材は、主に樹脂になるかと思いますが、金属パーツも、今後、是非、ご検討下さいませ。(笑)

石井様:
わかりました。(笑)

— 最終製品のどの部分で、3Dプリント造形物は、使われているのでしょうか?

石井様:
最終製品として使っているのは、頭蓋骨の部分。ナイロン粉体ですね。

小児患者型ロボット「Pedia_Roid」を開発し、シミュレーターロボットによって医学教育の発展に寄与する株式会社テムザックの石井様にお話しを伺いました。3Dプリンターを用いて従来の工程を大幅に削減した事例です。

筧:
そうですね。

SLS(粉末焼結積層造形)のナイロンで、いつもご注文頂いておりますね。

石井様:
最終製品としては、その部分だけなのですが、最終製品を作る上での型作りの段階で、色々なパーツを成型して頂きました。

3Dプリンター導入前の作業工程を大幅に削減

筧:
全身の部分は、原型になるモノとしてナイロンで造形したと思うのですが、頭蓋骨の部分は、そのままナイロンの造形物を使われているという事ですね?

石井様:
はい、頭蓋骨にあるものを接着しようと思ったら、粉末の部分が接着しなくて、ご相談したら接着剤も御社からご提案頂きましたね。

筧:
エポキシですね。

石井様:
今後、量産になってくると、型作りでおこして、ABSの注型か何かに置き換えないといけないかなと考えています。

川岸:
表面の粗さの問題で、接着が上手くいかないケースに関してですが、後処理で、ケミカルエッチングという手法を用いる事によって、表面の粗さを抑える事ができます。

そういった後処理を一段階、踏む事によって接着性が向上する可能性も御座います。

石井様:
そのケミカルエッチングは、全体ではなく、部分だけという事も可能ですか?

川岸:
全体に対して対応する処理になるので、部分対応となると、マスキング処理が必要になってしまいますね。

石井様:
何か吹き付けるような形でしょうか?

川岸:
やり方としては、特定のチャンバーの中に入れて、樹脂も反応するようなガスを使う事によってエッチング処理を行っています。

表面が若干解けますので、滑らかさが向上するという処理になります。

石井様:
実は、頭蓋骨に利用しているので、ザラザラ感も結構良い方向に働いているんですよ。

川岸:
あ、そうなんですね(笑)

石井様:
シリコンのマスクを被せているのですが、例えば、ザラザラしているので、口を開けた時に下に引っ張られず位置を保持しています。

なので、部分的に出来ないかなぁと、お伺いしました。

— 3Dプリンター導入前の工法についてお聞かせください。

石井様:
頭蓋骨に関しては、樹脂成形を行っていました。

また、シリコンのボディや顔を作る時粘土のマスターを仕上げて、石膏を張り付けて石膏型を作って、硬い樹脂を流して、樹脂で出来たマスターを一度、作ります。

それを仕上げていき、FRP(繊維強化プラスチック)の型を作ります。

今回は、シリコンのボディや顔を作る時の粘土のマスターを、スキャンをして、3Dプリンターで出力して頂きました。

小児患者型ロボット「Pedia_Roid」を開発し、シミュレーターロボットによって医学教育の発展に寄与する株式会社テムザックの石井様にお話しを伺いました。3Dプリンターを用いて従来の工程を大幅に削減した事例です。

つまり、石膏型と、硬質の樹脂という工程を省いて、粉体で出来たモノに対して、FRPで型を取っていく事が出来ました。



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