株式会社ATOUN

「フリーアビリティ社会の実現」。IAUD国際デザイン賞2020 作業機器部門 金賞・第8回ロボット大賞 サービス部門優秀賞を受賞され、パワードウェアをはじめ、働く人たちの体の負担を軽減する “着るロボット”の開発・普及に取り組むロボティクスファームの株式会社ATOUNの半沢様、矢田様にお話しを伺いました。マルチジェットフュージョン(Multi Jet Fusion)方式にてPA11・PA12を利用し、開発スピードを2~3倍に向上させた試作事例をご紹介致します。

プロフィール

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードを3Dプリンターを活用し2~3倍に向上させた試作事例

矢田 崇宜(やだ たかよし)
株式会社ATOUN 製品開発部 リーダー
腰アシスト用パワードウェアATOUN
MODEL Yの開発に携わり、追加機能
の腕アシスト + koteの開発を担当。

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードを3Dプリンターを活用し2~3倍に向上させた試作事例

半沢 文也(はんざわ ふみや)
株式会社ATOUN 製品開発部 技師
歩行支援用パワードウェアHIMICO
の開発を担当。

パワードウェアでめざすフリーアビリティ社会

DMM.makeプロデューサー:
本日はお忙しい中、インタビュー承諾頂きまして大変ありがとうございます。

半沢様:
私が技術開発部でHIMICOを開発している半沢と申します。

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードを3Dプリンターを活用し2~3倍に向上させた試作事例

矢田様:
私がATOUN MDOEL Y + koteを開発している矢田と申します。

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードを3Dプリンターを活用し2~3倍に向上させた試作事例

DMM.makeプロデューサー:
いろいろ拝見させて頂きましたが当社のサービスをご利用頂いているのは、今回の開発のATOUN MDOEL Y + koteでよろしかったでしょうか?

半沢様:
ATOUN MDOEL Y + koteとHIMICOどちらにも使っています。

DMM.makeプロデューサー:
そうなんですね。ありがとうございます。
そのあたりの詳細などお伺いできればと思いますので宜しくお願いします。 

DMM.makeエンジニア:
早速インタビューの質問に進ませて頂きます。

— 御社が、どのような事業展開をされているかお聞かせください。

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードを3Dプリンターを活用し2~3倍に向上させた試作事例

半沢様:
ATOUNは着るロボット「パワードウェア」を開発・製造・販売しています。人が身に着けることで腰・腕・歩行をアシストする機器です。

このパワードウェアを使うことで、自分の能力を活かしつつ、生来の身体的能力差にかかわらず、世の中の人がもっと自由に動き回れる世界、これを我々は「フリーアビリティ社会」と呼んでいますが、そういった世界を目指しています。

なので社名ATOUNは、人間を表す「A(阿、あ)」と、ロボットを表す「UN(吽、うん)」が調和する、「あうんの呼吸」にちなんだ社名になっています。

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードを3Dプリンターを活用し2~3倍に向上させた試作事例

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードを3Dプリンターを活用し2~3倍に向上させた試作事例

現在は腰をアシストするATOUN MODELE Yを量産しており、主に作業支援用途で使っていただいています。2021年1月からは腰と腕をアシストするATOUN MODEL Y + koteも量産しています。

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードを3Dプリンターを活用し2~3倍に向上させた試作事例

DMM.makeエンジニア:
物流の現場などで使用されているのでしょうか?

半沢様:
そうですね。
倉庫での荷役作業や工場での原材料投入や製品の搬出入で使用していただいています。また空港での手荷物搭載などのグランドハンドリングの業務ではスーツケースなどの荷物を一日何百個と運ぶ作業があり、その際の体の負担を軽減するために弊社の機器を導入いただいております。

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードを3Dプリンターを活用し2~3倍に向上させた試作事例

3Dプリンターを試作フェーズで使う

— どういった部分で3Dプリントが利用されているかお聞かせください。

DMM.makeエンジニア:
最終製品としては、そういったパワードウェアを開発されているということなんですね。

3Dプリントがどういったところで使われているのかをお聞きしたいのですが、試作の段階で使用されているんでしょうか?

半沢様:
そうですね。
基本的には試作、検討するときに使っています。やっぱり単純に金属を加工、削り出しを行うよりも早いですしコストも安いので、試作の段階で使わせてもらっています。

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードを3Dプリンターを活用し2~3倍に向上させた試作事例

DMM.makeエンジニア:
なるほど、そうなんですね。
最終製品としての素材はどういったモノで作られているのでしょうか?

半沢様:
基本的には樹脂系で型を起こして作っていますね。

DMM.makeエンジニア:
射出成型ということですか?

半沢様:
はい。

DMM.makeプロデューサー:
なるほど。
実際に販売数量というのはどれくらいになるのでしょうか?

半沢様:
MODELE Yで累計800台以上出荷しています。

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DMM.makeプロデューサー:
ありがとうございます。今、我々のサービスを使って頂いて作った2商品に関しては、どれくらいの出荷数を見込んでいるのでしょうか?

半沢様:
Yの開発段階では、まだ御社の3Dプリントサービスを使用していなかったんですね。2021年1月に販売開始の+koteという追加ユニット部分が御社のサービスを使って試作を行ったモノになります。

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※【新製品】「ATOUN MODEL Y + kote」
2021年1月発売開始

腰をたすける「ATOUN MODEL Y」、腰と腕をたすける「ATOUN MODEL Y + kote」が、体の負担を軽減し、作業をお手伝いします。

DMM.makeプロデューサー:
見込みとしてはだいたいどれくらい販売見込みを立てているのでしょうか?

矢田様:
Yシリーズとして年間で1,000台を目指しています。

DMM.makeプロデューサー:
そうなんですね。ありがとうございます。

ちなみに3Dプリンターで使った形で繰り返し試作されているということだったのですが、今3Dプリンターを使った最終製品の利用を検討されている会社様が多い状況なのです。

そこで御社が3Dプリンターを使って、最終製品ではなく繰り返しの試作までしか回すことができなかった大きな要因があれば、その点についてお聞かせ頂けないでしょうか?

半沢様:
製造コストが大きな要因の1つになりますね。
今回の製品に関しては、初期費用とランニングコストを考えると金型を起こした方が低コストな見積もりになりました。

DMM.makeプロデューサー:
そうなんですね。

半沢様:
数量が多くなるほど、型を起こした方が有利になってしまうという感じですね。

DMM.makeプロデューサー:
なるほど。

ちなみに当社は、プロダクション用のサービスというのも展開しております。
かなりリーズナブルな金額で供給していたりするので、ご検討頂ければと思います。

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半沢様:
もちろん、新規案件時には検討させていただきます!

DMM.makeプロデューサー:
バルクで作ると安くなるモノもあるので、販売見込みで1,000台であれば3Dプリンターで作った方が安くなるケースがあります。

また、3Dプリンターも技術的に日進月歩なところがあるので、新しいプロダクトが出てくれば、どんどん安くなっていくケースがあります。

ですので、データだけ保有して頂いて、金型という減価償却としての資産を持たずに3Dプリンターで物作りや機能的を満たして、アピアランス面で課題としては出てくると思いますけども、そういったところがクリアできているということであれば検討頂けるかなと思います。

半沢様:
金型と遜色のない製品が出来てくるのであれば、是非試してみたいところです。

DMM.makeプロデューサー:
承知しました。是非、ご検討、ご利用ください。

半沢様:
はい、お願いします。

金型切削は3Dプリンターに比べると価格が10倍

— 3Dプリンター導入前の工法についてお聞かせください。

DMM.makeエンジニア:
3Dプリンターを導入する前ではどういった工法を取られていたのかをお聞かせ出来ますでしょうか?

半沢様:
基本的には金属切削、あとは板金加工、汎用部品の組み合わせですね。

— 導入前の工法は、どのような課題がありましたか?

DMM.makeプロデューサー:
その中でどういった課題があって3Dプリンターを使用する決断をされたのか、お聞きすることはできますか。

半沢様:
開発速度と金額的なところですね。

金額で言うと、金型切削は3Dプリンターと比較して、ものによっては価格が10倍ぐらいになったりするので、結構そこがネックでした。

あとは、弊社独特の課題だと思うのですが、金属切削や板金加工では、人の体に沿った曲面形状を実現するのは難しいと言われることも多かったです。

3Dプリンターは複雑形状でも作れるので、そういった意味では今まで制約があったところを3Dプリンターで克服できるというのがあったので、導入のきっかけになりましたね。

DMM.makeエンジニア:
ありがとうございます。

DMM.makeプロデューサー:
開発速度面でも有利に働いたということなのですが、だいたいどれぐらい短縮できたか教えて頂けると助かります。

半沢様:
具体的に計算していたわけではないのですが、感覚的には2~3倍ぐらいのスピードで開発はできるようになっていますね。

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードを3Dプリンターを活用し2~3倍に向上させた試作事例

DMM.makeプロデューサー:
ありがとうございます。

DMM.makeエンジニア:
先ほど仰って頂いた3Dプリンターではないと実現できない形状とあったのですが、最終製品については型を起こして製作するかと思いますが、そういったところで3Dプリントから型で起こすために形状を直す作業もあったりしたのでしょうか?

半沢様:
そうですね、最初は金型を考えずに実際に我々として作りたい形状を検討します。

人の動きを阻害しないか・体へのフィット感はどうか・アシスト効果があるかなど、そういった面で十分に耐えられる形がある程度、目途がついてから金型用に形の修正を加えていくイメージです。

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードを3Dプリンターを活用し2~3倍に向上させた試作事例

DMM.makeエンジニア:
そこで、型用に設計をし直すというか、修正の手順が入るということなんですね。

そういった面でもマスプロダクションサービスを3Dプリンターで使って頂けると設計の手間も省けて、工数の削減につながるのかなと思います。

半沢様:
その通りですね。

— 3Dプリントサービスの導入のきっかけは、なんでしょうか?

DMM.makeエンジニア:
次に、導入理由についてお聞かせ頂けたらと思います。3Dプリントサービスの導入のきっかけは何でしょうか?

やはり従来の金型切削であったり、既製品の組み合わせだと、コストと納期面で課題があったというところでしょうか。

半沢様:
はい。

DMM.makeエンジニア:
そうなんですね。
3Dプリントサービスで何社かあると思うのですが、比較はされたのでしょうか?

半沢様:
はい、何社か利用させていただいております。

DMM.make 3Dプリントサービスを活用する決断された理由はなんでしょうか?

DMM.makeエンジニア:
その中で今回、DMM.makeの3Dプリンター 出力サービスを使用されるに至った理由があれば、お聞かせ頂けますでしょうか?

半沢様:
材質の選択肢が豊富にあること・製造コストがとても安いこと・一度に造形できる量が多いことがとても魅力的でした。

DMM.makeエンジニア:
造形量もあるのですね。
量というのは、数量のことでしょうか?サイズのことでしょうか?

半沢様:
数量ですね。
造形数が多いと納期が倍くらい変わってきます。プリンターの台数の関係かと思うのですが・・・

DMM.makeエンジニア:
PA11であったり、PA12であったりを使われていることが多いかとお見受けしましたが。

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半沢様:
はい、そうですね。

DMM.makeエンジニア:
ということは、弊社は複数台保有していますので、そこで並行稼働して大量にご納品することができますね。

半沢様:
はい、凄く助かっています。

DMM.makeエンジニア:
他に素材を使用されたりとか、検討されたことは御座いますか。

半沢様:
過去に使ったことがあるのはチタン系と、僕がマルチマテリアルを使っていましたね。

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードを3Dプリンターを活用し2~3倍に向上させた試作事例

構造の確認とか、防水の試験とかで透明な樹脂で造形したいことがあったので、光造形で、透明の樹脂で造形をお願いしたこともありますね。

DMM.makeプロデューサー:
そうなんですね。クリアアクリルという材質ではなくて、光造形系でのご依頼だったのでしょうか?

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半沢様:
すみません、ちょっと昔のことでどちらだったかは覚えていないというか。(笑)

DMM.makeプロデューサー:
承知しました。(笑)

半沢様:
透明系の樹脂でお願いしたことが昔あります。(笑)

DMM.makeプロデューサー:
承知しました。ありがとうございます。(笑)

ナイロン系のモノをよく使って頂いていると思うのですが、その他、チタンだったりとか、マルチマテリアルだったりとか、あと、透明系の樹脂に関しては、評価としていかがだったでしょうか?

マルチマテリアルは実際の最終製品と同じデータで試作が出来た

半沢様:
マルチマテリアルの場合は、2色成型ではないにも関わらず、場所によって色を変えられたので、開発するうえで大変助かりました。

場所によって色を変えようとすると2色成型という射出成型をする必要がありますが、型を起こす必要があるためどうしても高コストになります。そのため試作の段階では色ごとに部品を分けて作り、接着材でくっつける必要がありました。

できれば、実際に最終的な金型の2色成型と同じような仕上がりの試作をしてみたかったんですよ。マルチマテリアルの場合はそれが実現できたので、実際の最終製品と同じような試作品が出来たのは凄く助かりました。

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DMM.makeプロデューサー:
良かったです。

実は、そういう目的で使って頂きたくて導入を進めたのですけれど、中々利用のハードルが高くて、GrabCAD というソフトの中で、いろいろとやって頂かないといけないことがあるじゃないですか。

その作法の部分が乗り越えられない方が結構多いんですよね。

使って頂いて、そういった不便なところであったりとか、感じて頂けたかと思うのですが、弊社からどういった情報を供給すればもっと使いやすくなる、ということが、もしご意見として頂ければすごく助かります。

半沢様:
色の違う部位ごとに3Dデータを作成してアセンブリしたものを造形データとして御社のサイトにアップロードする必要があるんですが。

DMM.makeプロデューサー:
そうですね。

半沢様:
マルチマテリアル用に御社から指定されたソフトをインストールしたのですが、初めて触るソフトでしたので、作成したデータが自分の思ったような設定になっているかどうかがわかりませんでした。

出来ているかどうか、分からないから取りあえず、DMM.makeの3Dプリンター 出力サービスサイトでデータチェックしてもらったのですが、最初うまくいかなかったというのが結構あったんですよ。

そこら辺で、どうやったらうまくデータのアップロードをして、エラーなく出来るのかというサポートではないですけど、そこをもうちょっと分かりやすく出来ると凄く助かるかなと思います。

DMM.makeプロデューサー:
分かりました。作業工程も掛かってしまうので、費用が掛かってしまうケースもあるかなとは思いますが、サービス・システムについて検討できたらな、と思います。貴重なご意見ありがとうございます。

半沢様:
いえいえ。

実物を作ってみて比較検討が出来るようになった

— 3Dプリントサービスの導入後どのような変化がありましたか?

DMM.makeエンジニア:
3Dプリンターの導入後、どういった変化がありましたでしょうか?

半沢様:
いろいろ試作を何パターンか作ることが出来るようになりましたね。

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今までは3Dデータとしては、パターンA、B、Cぐらいの3パターンぐらい、こういった形状にしたらいいのではないかという案が出るのですが、それを全部試作しようとすると、それだけコストが掛かってしまいます。

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3Dプリンターで作る場合は、コストはある程度抑えられるので、今まで3パターンのうちのどれか1つを試しに作ってみる、というのだったのが、3パターン全部1回実物を作ってみて、比較検討しましょうということが出来るようになりましたね。

DMM.makeプロデューサー:
なるほど。
また、それも開発の速度にかなり影響を与えているというイメージでしょうか?

半沢様:
そうですね。後になってやっぱり、駄目だったから別のタイプをやり直しましょうという話をしなくなったので。

後戻りしないで済むという意味では、だいぶ時間的には短く開発出来ていると思います。

DMM.makeプロデューサー:
3Dプリントを利用して頂くお客様に対して、フロントロ-ディングという、開発の初期の段階で問題をつぶしていくというところをご提案の中に入れている状況です。ですので、そういったご活用をして頂くのは、我々としてはすごく本望であります。

なので、仰っていた金額が切削だと10倍掛かる、速度も2~3倍体感的に速く試作が進められるようになったというところが結局、予算確保につながって、3Dプリンターの試作に当てる金額もそこから充当して頂いているという感じでしょうか?

半沢様:
そうですね。

より衣服に近いような機器を作りたい

— ものづくり業界に今後期待していることはなんでしょう?

DMM.makeエンジニア:
ちょっと広くなってしまうんですけれども、モノづくり業界に対して、今後期待されていることなどありますでしょうか?

半沢様:
弊社、製品をパワードウェアと呼んでいるぐらいですから、より衣服に近いような機器を作りたいっていう想いがあるんですよね。

最終的には、普通にジャケットを羽織るような感じで弊社のパワードウェアを使ってもらって、着るとそれだけで動くのが楽になったりとか。

そういった世界を目指しているので、単純な樹脂とか金属だけではなくてゴムとか、極端な話はアパレル系の衣服・繊維系ですね。

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードを3Dプリンターを活用し2~3倍に向上させた試作事例

DMM.makeエンジニア:
布とかですか?

半沢様:
はい。ああいった、服も一緒に作れるような製品、3Dプリンターとかがあると凄く嬉しいですね。

アパレル部分を編み込んでくれて、そこからさらにシームレスにゴム材や樹脂材が造形されているようなイメージです。

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そのような感じで基板やモータを収めるスペースも確保していてくれて、もう全てを1発でやってくれるようなモノがあると、凄くうれしいですね。(笑)

DMM.makeプロデューサー:
そうですね。(笑)

半沢様:
だいぶ、先の話になってきますけど。(笑)

DMM.makeプロデューサー:
はい、だいぶ先かなと思うんですけれど、ただ電子基板みたいなモノを組み込むというのは、開発している会社様が結構出てきているんですね。

なので、今どうしてもアクティブ回路を仕込めるほど、スケーラビリティがミクロなところまでは進んではいないのですが、マクロスケールで考えたときの抵抗だったりとか、RCだったり、Lだったりとか、パッシブ系の素子は擬似的に機能として果たすみたいなことを開発されている会社様がちょこちょこ出てきています。

アクティブの素子に関しては、どうしてもあとでアセンブリしなくてはいけないという状況は続くかと思いますが、これから先、パッシブに関してはもともと組み込まれた状態で3Dプリントされてくることはあり得るのかなという風には考えていますね。

ですので、電子基板でビルドアップ工法で作らなくてはいけなかったようなモノを3Dプリンターで代用するみたいなモノは、今出てきている状況ですね。

低電力系の回路ですね、さすがにパワー系のところだと電流量によっては焼き付いてしまう可能性もあるのですが、低電力のモノに関しては代用し得る状況には徐々になっていくのではと考えています。

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半沢様:
もしかしたらマルチマテリアルで出来るかもしれないのですが、例えば1枚の板で、こっち側の端は樹脂で硬くしておいて、段階的に反対の端までいくとゴム系とか、ラバー系になるみたいなのって、出来たりするのでしょうか?

DMM.makeプロデューサー:
グラデーション的に動くっていうのが中々難しいのですが、ステップで動くというような、離散的にはなってしまいますが、軟らかくすることは可能ですね。

ですが、仰っていたシェル分けが必要になってしまうので、望んでいらっしゃるようなグラディアリーな変化というのは与えることがちょっと難しいです。(汗)

半沢様:
アパレルを編みこんでいくのはさすがにすぐには難しいと思いますが、材料の合成比を変えることで材質が変わっていくような設定ができると、それだけでも開発の幅が広がるかなと思います。

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DMM.makeプロデューサー:
はい、確かに。

実際にインクの配合量だけで決まっている処理内容になってくるので、本質的に言えばカラーで見て頂いているような形でグラデーション的に作れるはずなんですよね。

なので、メーカー様がどのタイミングで開発してくるか、僕らも注視したいと思っています。

半沢様:
なるほど。

DMM.makeエンジニア:
今はゴムライクのコードの変更が出来るのって10段階ぐらいが限界なのですが、その辺りの材料の配合の組み合わせをすごく細かく区切っていければ、シェル分けがそれだけ必要になってくるのか、みたいな話にもなってくるかもしれないですけれども。

遠からず実現できる可能性はあるのかなと思っていますので、そのへんはメーカー様の開発に期待するというところですね。

DMM.makeプロデューサー:
あと、1件お伝え漏れがあったのですが、今の当社でサービスさせて頂いているマルチマテリアルの利用方法として、ボクセルモデリングというボクセルで出力することが可能なんですね。

1ドット単位で材質の内容を変えることがデータの作りによって可能です。なので、仰っていたようなグラデーションでの変化というのが、もしボクセルモデリングであれば出来る可能性というのがあるのかなと思います。ドット単位で配合比率を変えるみたいなことですね。

半沢様:
はい。もし、使えるようであれば、是非、すぐにでも試してみたいです。

DMM.makeプロデューサー:
承知しました。是非、ご検討下さい。

DMM.makeエンジニア:
ありがとうございます。

DMMの3Dプリントサービスに対して、今後期待されていることや、こういったサービスがあるとうれしいみたいなことは御座いましたら、お聞かせ頂けますでしょうか?

半沢様:
強度解析とか、そういった解析系もできるようになると凄くうれしいですね。

結局、PA11とかPA12だと、ある程度強度が分かっているので、普通にこんな感じかなと思って厚みとか決めたり出来るんですけど。

実際に合っているかどうかというのは、もちろん弊社の技術部隊も強度解析はするのですけど。

そういった強度解析とかのサポートも含めて、もしやって頂けるのであれば、よりエラーなく開発が進むのかなと思います。

DMM.makeプロデューサー:
なるほど。
その場合、2つの方法でサポート出来ることがあると思うのですが。

1つ目は、技術資料をしっかり出すことによって、御社の側でモデルパラメーターとかをしっかり理解して頂く形で、解析システムの中にそれを導入して頂いて、御社の側で解析しやすい環境というのを当社からご提示させて頂く事。

もしくは、そういった解析システムを当社の方で保有しておいて、解析結果について御社の方にお伝えさせて頂くという方法があり、2点考えられるのですが、どちらもあったら嬉しいなという内容でしょうか?

半沢様:
そうですね、どっちもあると嬉しいですけれども、恐らく御社の方で解析まで一貫して出来ると凄く嬉しいかなと思います。

今データチェックまでは御社のサイトでやって頂いているので。

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DMM.makeプロデューサー:
そうですね。

半沢様:
私のイメージとしては、データチェックの流れで、造形したときの強度とかたわみとかの解析結果も、そこで一緒に見れるようになっていると、安心して造形の出来上がりを待てます

DMM.makeプロデューサー:
承知しました。肉厚解析系である程度、安全に製造出来るというところまでは、遠からず導入出来ると思っています。

ただ、ご期待しているような静解析の結果を含めたようなモノ、安全率がしっかりと分かるみたいなところになると、ちょっとまだ時間掛かりそうです。

半沢様:
はい、分かりました。(笑)

DMM.makeプロデューサー:
いずれ、そういったモノも組み込めたらなと思っています。

半沢様:
はい、お願いします。

あと、もう1点、具体的にという話ではないのですが、今でも十分多いんですけれど、造形する材料、材質の種類というのを今後もうちょっと増やしていって頂けると、いろいろまた選択肢も広がるのでいいのかなと思っています。

DMM.makeエンジニア:
どういった素材があるとよろしいでしょうか?

矢田様:
エラストマー系ですね、TPUやシリコンなどのイメージです。

それこそ、ドイツのバイエルン州に本社を置くスポーツ用品メーカーのソールとしてcarbon社の3Dプリンタで製造された部品が採用されているというニュースもありますが、ああいった素材を試作レベルで気軽に造形できると非常に助かります。

弊社でも3Dプリンターでこういったエラストマー系や、ゴムライクみたいな素材で試作を試みることが多いのですが、強度という面ではどうしても形状確認に留まりがちです。

弊社ではこういった素材を、身体に触れる部分のクッションやダンパーとして使用することが多いのですが、本当は実際に荷重を掛けてみて、心地よいとか痛いとか感触を確かめたいという思いがあります。

あとは、アルミ素材ですね。弊社ではよくチタンで造形をさせてもらっているのですが、どうしても扱いづらいところがあって。追加工したり、削ったりというところで、チタン素材はどうしても難があります。

できれば、アルミで造形したいのですが、アルミの造形を中々請け負っているところがなかったり、あったとしても費用が非常に高かったりするので、そういったところを充実して頂けると、非常に助かります。

DMM.makeプロデューサー:
分かりました。ありがとうございます。参考にさせて頂きます。

ゴムは確かにCarbon社のレベルに到達しているような光造形系というのが、弊社も探しているのですけど中々見当たらないので、そこはちょっと課題に感じているところですね。

矢田様:
Form 3は御社からレンタルさせて頂いていて、造形も綺麗だし非常に使いやすかったのですが、それでもやっぱり強度という面では、ちょっとCarbon社のモノには敵わないなという印象です。

DMM.makeプロデューサー:
敵いませんね。

DMM.makeプロデューサー:
3Dプリンターで作ったモノのゴム系の中で、軟らかさという面でショアコードで、コード面で考えると軟らかい材質というのは結構あるんですけど、弾性で考えたときに、弾性がゴム系の弾性を持っているというモノはほとんどないと思うんですよね。

Carbon社だけが唯一、そこが達成出来ているかなというのが、弊社側の見解としてあるので、あのレベルのゴムが使いたくはあるのですが、中々提案出来るようなモノというのが、Carbon社以外でないんですよね。

矢田様:
だから、僕らもお願いできるところが、多分国内でそんなに多くはないのですが。

あれをサービスとしてやっているところがあんまりないので、選択肢がないんですが、御社がそれに参入してもらえたらすごいパワーバランス崩れるなと思って。(笑)

DMM.makeプロデューサー:
なるほど、そういうことですね。(笑)

矢田様:
内緒ですけど。(笑)

DMM.makeエンジニア:
是非、検討出来ればと思います。(笑)

DMM.makeプロデューサー:
ありがとうございます。

3Dプリントを使って取り組まれている貴社の事業の紹介であったり、アピールをこの場で是非、お願いできればと思うんですけれども。

人間がもっと自由に動ける社会を目指す。

— 最後に、御社の今後の展望をお聞かせください。

矢田様:

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードを3Dプリンターを活用し2~3倍に向上させた試作事例

今はパワードウェアに搭載されたセンサーにより、人間の動きとかを察知し、コンピューターを使って「なるべく人に近い自然なアシスト」というところを弊社の強みとして、製品の開発に取り組んでいます。

これまでの作業支援分野だけではなく、今後は介護や日常生活の支援といった分野にも挑戦していきたいと考えております。

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードを3Dプリンターを活用し2~3倍に向上させた試作事例

最終的には、冒頭にもお伝えした通り、自分の本来持っている能力を活かしつつ、性別、年齢、体力などの障壁なく、世の中の人がもっと自由に動き回れる世界「パワーバリアレス社会」「フリーアビリティ社会」の実現を目指し、人とロボットが「あうん」の呼吸で、協調しつつ最終的には人間の生活を豊かにするということを実現していきたいです。

あと、2021年1月に新製品の販売を開始しましたので、そちらの紹介もさせて頂きたいんですけれども。(笑)

矢田様:
これまで、腰用のアシストスーツを販売してきました。

そこに腕の補助ということで+ koteというユニットをリリースします。今までの腰用のパワードウェアにアタッチメントとして取り付けることで腕を補助します。

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードを3Dプリンターを活用し2~3倍に向上させた試作事例

腰用のパワードウェアは荷捌きなどの作業では一番負担が大きい筋肉の一つと言われている腰の脊柱起立筋をサポートする製品でした。腕も楽にしたいというニーズがあって、それに初めて応える形でATOUN MODEL Y + koteという製品をリリースします。

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードを3Dプリンターを活用し2~3倍に向上させた試作事例

大きな工場や企業では、全自動化してロボットをバンバン導入するところがありますが、企業の規模的に全自動というのはちょっと現実的じゃないというところや、扱う荷物の大きさや形状がまちまちな現場に、ATOUN MODEL Y + koteを導入して頂いて、作業を少しでもお助け出来たらなと考えています。

DMM.makeプロデューサー:
そうなんですね。ご紹介ありがとうございます。

半沢様:
ただいま好評発売中です。

“着るロボット”パワードウェアの開発スピードを3Dプリンターを活用し2~3倍に向上させた試作事例

矢田様:
凄い営業するね。(笑)

DMM.makeエンジニア:
(笑)

DMM.makeプロデューサー:
(笑)

半沢様:
お話させて頂き、ありがとうございます。

DMM.makeエンジニア:
では、本日は以上となります。お忙しい中、お時間頂きましてありがとうございました。

DMM.makeプロデューサー:
ありがとうございました。

半沢、矢田様:
ありがとうございました。

DMM.makeプロデューサー:
今後とも、引き続き宜しくお願いします。

DMM.makeエンジニア:
宜しくお願いいたします。



今回のケースでは、試作段階でマルチジェットフュージョン(Multi Jet Fusion)方式にてPA11・PA12を利用し、開発スピードを2~3倍に向上させた事例をご紹介頂きました。

マスプロダクションサービスでは試作品造形・検証から最終製品の量産、そしてプリンターの導入まで企業様をサポートするサービスをご提案させていただきます。

3Dプリンターの導入についてなどご質問・ご要望がございましたらお気軽にお問い合わせください。