ソニー株式会社

新型スマートウォッチ「wena 3(ウェナスリー)」を展開するソニー株式会社様に、デザイン検討時の際、金属3Dプリンターをご利用された事例を伺いました。wenaシリーズは、腕時計のバックル部分に有機ELディスプレーや通信機能、各種センサーなどを搭載したソニーのスマートウォッチの第3世代になります。チタンをご利用頂いたデザイン検討事例をご紹介頂きました。

プロフィール

對馬 哲平(つしま てっぺい)ソニー株式会社 StartupAcceleration部 wena事業室 統括課長

對馬 哲平(つしま てっぺい)
ソニー株式会社(東京証券取引所市場第一部)wena
事業室wena project 事業責任者。30歳、大阪府出身。学生時代は学内ベンチャー企業で働き、雰囲気とスピード感を体験する。2014年大阪大学大学院工学研究科卒業後、同年ソニーモバイルコミュニケーションズ(株)入社、機構設計部へ配属。入社直後の研修にて、腕時計のバンド部分に機能が集約されたwena wrist の構想と試作機を披露した。その後、“人々にもっと違和感なく、自然に電子デバイスを身に付けてもらいたい”というビジョンを掲げ、有志を集めて業務外での活動を開始。入社1年目でソニーの社内スタートアップ・オーディションを勝ち抜き、ソニー(株)新規事業創出部wena事業室の統括課長としてwena projectを立ち上げた。第一世代のwena wristはクラウドファンディングで日本記録を樹立し、2017年12月には第二世代のwena wrist pro/active/leatherを発表した。2020年10月バックル部分に機能を集約したモジュール型wena 3を発表し、腕時計メーカーとの業務提携を実現した。

青野 達人(あおの たつひと)ソニー株式会社 Startup Acceleration部 wena事業室 デザイナー

青野 達人(あおの たつひと)
ソニー株式会社 Startup Acceleration部 wena事業室 デザイナー
東京大学大学院情報理工学系研究科修士課程修了後、ソニーモバイルコミュニケーションズ(株)にて約10年間国内外向け携帯電話、スマートフォンの設計に従事したのち、2015年3月よりwena projectに参画。以後wena wrist、wena wrist proなどの設計、デザインに携わる。2020年、wena 3のデザインにてグッドデザイン賞受賞。

スマートウォッチ wena3が、デザイン検討時に金属3Dプリンターを利用

DMM.makeプロデューサー:
本日は、お忙しい中、お時間を頂き、ありがとうございます。 お写真に写っている造形物ですが、手磨きで、対応されたのでしょうか?

青野様:
金属のヤスリで面を整えて、リューターを使ったバフ磨きと、超音波カッターを使い分けています。

新型スマートウォッチ「wena 3(ウェナスリー)」を展開するソニー株式会社様に、デザイン検討時の際、金属3Dプリンターでチタンをご利用された事例を伺いました。wenaシリーズは、通信機能、各種センサーなどを搭載したスマートウォッチの第3世代になります。

DMM.makeプロデューサー:
超音波カッターですか?(笑)
超音波カッターで、どうやって磨くのでしょうか?

青野様:
超音波カッターは刃の先が超音波振動して切れる道具なのですが、刃をつける部分にステンレス板を差し込んで、紙ヤスリを小さく切って貼り付けます。 それで、モノに押し当てると、超音波の振動で1秒間に4万回ほど擦ることになるので楽に磨けます。

DMM.makeプロデューサー:
それは凄いですね。今度、試してみます。(笑)

對馬様:
ただ、これは凄くイレギュラーな使い方です。(笑) 目の細かいヤスリを張り付けて、押し当てたり、ペーストを付けて押し当てたりすると、鏡面に出来ます。(笑)

DMM.makeプロデューサー:
そうなんですね。(笑) それでは、前置きが長くなりましたが、インタビューを始めさせて頂きます。

–wenaとは、どのような事業展開をされているかお聞かせください。

新型スマートウォッチ「wena 3(ウェナスリー)」を展開するソニー株式会社様に、デザイン検討時の際、金属3Dプリンターでチタンをご利用された事例を伺いました。wenaシリーズは、通信機能、各種センサーなどを搭載したスマートウォッチの第3世代になります。

對馬様:
wenaとは、”wear electronics naturally”の略で、「人々にもっと自然に、違和感なく、 ウェアラブルデバイスを身につけてほしい」という想いで、このような名前になっております。

新型スマートウォッチ「wena 3(ウェナスリー)」を展開するソニー株式会社様に、デザイン検討時の際、金属3Dプリンターでチタンをご利用された事例を伺いました。wenaシリーズは、通信機能、各種センサーなどを搭載したスマートウォッチの第3世代になります。

2020年10月1日に、wena3を発表させて頂いて、かなり反響も頂き、ご予約も好調に入っているところです。
腕時計のバンドに中に、スマートウォッチとして必要な様々な機能を入れ込んでおり、今回は、バックルの中に、全てを集約するという事を実現しました。

新型スマートウォッチ「wena 3(ウェナスリー)」を展開するソニー株式会社様に、デザイン検討時の際、金属3Dプリンターでチタンをご利用された事例を伺いました。wenaシリーズは、通信機能、各種センサーなどを搭載したスマートウォッチの第3世代になります。

その為、時計メーカー様が、今までは盤面部分しかデザイン出来なかったのですが、盤面部分に加えて、バンド部分も全てデザイン出来るようになりました。

「時計メーカー様はスマートバックル部分を採用するだけで、簡単にスマートウォッチが作れる」という世界を実現しようとしております。

このスマートウォッチの、アプリやサーバー、カスタマサポートは、全てwena側で行っており、時計メーカー様は、採用頂くだけで、他に何も作らなくてもよいというメリットが御座います。

既に、いくつかの時計メーカー様にも、採用して頂いており、それぞれリリースされております。

DMM.makeプロデューサー:
ありがとうございます。
wenaに基づいたデザインや設計を行いたい場合、デザインガイドラインのようなモノが、御社からご提供されたりするのでしょうか?

對馬様:
勘合部に合わせてバンドを作って頂く流れになります。

新型スマートウォッチ「wena 3(ウェナスリー)」を展開するソニー株式会社様に、デザイン検討時の際、金属3Dプリンターでチタンをご利用された事例を伺いました。wenaシリーズは、通信機能、各種センサーなどを搭載したスマートウォッチの第3世代になります。

DMM.makeプロデューサー:
徐々にオープン化していく可能性もあるのでしょうか?

對馬様:
そうですね、その可能性もあると思います。

DMM.makeプロデューサー:
そうなんですね。

–3Dプリンター導入前の工法については、どうのような工法だったのでしょう?

對馬様:
今回の造形物は、デザイン検討として造形しました。
従来のデザイン検討は、社内で保有している樹脂の3Dプリンターで出力して、シルバーの塗装を行い、金属っぽく見せかけていました。
しかし、塗装ですと、あまり金属感は出ないので、本物の金属で作りたい事や、3Dプリンターで手軽に作りたいという事が、今回の造形の経緯になっております。ただ最終的にはこの形状はボツになってまして、最終製品は違った形状になっています。

青野様:
あと、樹脂の3Dプリンターですと、細い構造部分など、強度的に有効性が検証できなかったですね。
質感なども含めて、金属3Dプリンターを使いたかったですね。

チタンを採用する事で、ビジネススピードを加速させる

DMM.makeエンジニア:
DMM.makeの3Dプリンター 出力サービスで、金属の3Dプリンターで、チタンをご利用頂いておりますね。

青野様:
以前は、SUS316Lで、いくつか試した事はあるのですが、チタンのほうが、圧倒的に安くて早いという事がわかりました。(笑)
また、チタンも、磨けばステンレスと比べても、違和感がない程度に光る事が分かりました。

新型スマートウォッチ「wena 3(ウェナスリー)」を展開するソニー株式会社様に、デザイン検討時の際、金属3Dプリンターでチタンをご利用された事例を伺いました。wenaシリーズは、通信機能、各種センサーなどを搭載したスマートウォッチの第3世代になります。

DMM.makeプロデューサー:
そうなんですね。

–DMM.makeの3Dプリンター 出力サービスをご利用頂くきっかけは、どのような経緯だったのでしょうか?

對馬様:
wenaは、時計のバンド側で、機能が完結しておりますので、ヘッド部には、普通の時計を装着する事ができます。


ただし、取り付ける部分の形状が合えば、という条件があります。
そこで、「形状が合えば」という部分を、金属3Dプリンターで、完全にオーダーメイドにする事ができれば、形状はもちろん、デザイン的にも合わせ込めるように出来るのでは?という事を、期待して、試しにいくつかやってみたという経緯があります。


当時は、SUS316Lで造形していたのですが、リードタイムが1ヵ月程度かかる部分と、1ヵ月待って届いたものが、歪んでたりする事もあり、そうなると、また再造形になり、1ヵ月待ちとなります。


さらに、後工程の磨きもありますので、これは、ビジネスとしては難しいと考えました。


その際に、いくつか試していく中で、チタンで造形する場合、安くてリードタイムも短い事がわかりました。
また、デザイン検討であれば、見える部分だけ磨けばいいので、労力も減らせますので、チタンであれば、今後も使っていけるのでは?と経緯で、造形依頼をしました。

新型スマートウォッチ「wena 3(ウェナスリー)」を展開するソニー株式会社様に、デザイン検討時の際、金属3Dプリンターでチタンをご利用された事例を伺いました。wenaシリーズは、通信機能、各種センサーなどを搭載したスマートウォッチの第3世代になります。

DMM.makeプロデューサー:
ありがとうございます。

青野様:
また、DMM.makeの3Dプリンター 出力サービスを継続的に使っている理由としては、3Dデータをアップロードするだけで、見積もりが、すぐ出てきて、手軽に造形を依頼する事ができる点ですね。

–DMM.makeの3Dプリンター 出力サービスを利用後、どのような変化がありましたか?

青野様:
良かった点としては、「金属で、手軽に造形物が作れる。」というところですね。今まで出来なかった事なので。

最終製品がステンレスであっても、チタンをデザイン検討の代用として使えるという部分が、わかりましたね。

DMM.makeプロデューサー:
デザイン検討においては、チタンのコストとリードタイムが、良かったという事ですね。

青野様:
そうですね。
見た目のデザイン検討に限定していましたので、細かな素材の違いは、完全に合わせる必要は無かったですね。

DMM.makeエンジニア:
デザイン検討の際は、やはり、実際に腕に付けてみたりするものなのでしょうか?

新型スマートウォッチ「wena 3(ウェナスリー)」を展開するソニー株式会社様に、デザイン検討時の際、金属3Dプリンターでチタンをご利用された事例を伺いました。wenaシリーズは、通信機能、各種センサーなどを搭載したスマートウォッチの第3世代になります。

青野様:
はい、そうですね。
腕に付けられる状態にしてあります。
強度確認という意味でも、付けられるようにする事が多いですね。
ケースバイケースで、見た目だけという場合もあります。

DMM.makeプロデューサー:
そうなんですね。
今回のケースは、デザイン検討だけではなく、装着感の確認にも使えたという事なんですね。

青野様:
そうですね。

–ものづくり業界に今後期待していることは?

青野様:
より小さくて、精密なモノが作れれば良いかなと思っています。
時計の内部の歯車のようなモノまで造形できたら、デザイン検討だけでなく、技術検討も広げていけるかなと思っています。

DMM.makeプロデューサー:
やはり、高精細な造形が出来るようになったり、コスト的にも最終製品に導入できるような価格になったりという部分でしょうか?

對馬様:
はい、仰る通りですね。

青野様:
エンドピースのカスタマイズで、ユーザー様一人ひとりの一点モノを作る際、ご装着されたいモノがあったら、スキャンして連動して、出力すべきデータが生成されるような仕組みがあるといいですね。

バックル部に、カーブしたタッチディスプレイとバッテリー、独自設計の超小型基板を配置し、人の腕にフィットする快適な装着感を実現

新型スマートウォッチ「wena 3(ウェナスリー)」を展開するソニー株式会社様に、デザイン検討時の際、金属3Dプリンターでチタンをご利用された事例を伺いました。wenaシリーズは、通信機能、各種センサーなどを搭載したスマートウォッチの第3世代になります。

DMM.makeプロデューサー:
今、既にスキャンサービスも展開しているのですが、金属製品は、反射がかなり強くて、スキャンする事が、中々、難しいんです。

ですので、マスキングテープを貼ったり、マスキング用の溶剤を塗布したりという処理が必要になってしまいますので、アンティーク製品のようなモノだと、ちょっと、難しいかなと思います。

對馬様:
黒いスプレーのようなもので色を付けたらスキャン可能になりますでしょうか?

DMM.makeプロデューサー:
可能ですね。グレー系のカラーが、スキャンしやすいので、グレー色でコーティングするイメージですね。

お客様のお持物には、向いてないですね。(笑)

青野様:
チタンやステンレスで、磨きしろの部分を自動的に付与して頂けるような事は出来ますか?

DMM.makeプロデューサー:
そちらは、ご要望に合わせて、現時点でも、対応可能です。

肉厚を、自動的に修正するツールが御座いまして、例えば、コンマ1mmだけ、肉厚を上げて造形するようなご依頼も、対応できます。

次回、ご依頼頂く際は、磨きしろの指定して頂ければ、対応させて頂きます。

青野様:
そうなんですね。わかりました!

DMM.makeエンジニア:
最終製品に使われている素材は、何になるのでしょうか?

青野様:
金属部分はステンレスですね。

DMM.makeエンジニア:
機能として、加速度センサー、静電タッチセンサー、心拍センサーなど、付いていますが、ステンレス製でも、そのような機能には影響はないのでしょうか?

青野様:
心拍センサーは光学的に計測しているので問題ありません。加速度も慣性力や重力を検出しているので特に影響ないです。

電波系は金属が近くに居ると影響を受けるんですが、あらかじめ影響を加味して設計されています。

ハードウェア的な部分で考慮して、設計・製造していますね。

對馬様:
スマートフォンとの通信は、Bluetoothで行っているのですが、アンテナは筐体のステンレスパーツを利用して、金属部分の影響を克服していますね。

DMM.makeエンジニア:
そうなんですね。

企画段階から、最終製品に至るまでに、期間としては、どの程度、かかったのでしょうか?

新型スマートウォッチ「wena 3(ウェナスリー)」を展開するソニー株式会社様に、デザイン検討時の際、金属3Dプリンターでチタンをご利用された事例を伺いました。wenaシリーズは、通信機能、各種センサーなどを搭載したスマートウォッチの第3世代になります。

青野様:
スタートは、確か、2018年後半ぐらいからでしょうか。

最初の試作は、2019年で、そこから、完成度を上げていくのに、また時間が掛かりましたね。

DMM.makeエンジニア:
一番、苦労された部分は、どの辺りになるのでしょうか?

青野様:
結構・・・全てが辛いという・・。(笑)

構造的には、強度や防水部分ですね。かつ、機能的なファンクションも満たしつつという。(笑)

新型スマートウォッチ「wena 3(ウェナスリー)」を展開するソニー株式会社様に、デザイン検討時の際、金属3Dプリンターでチタンをご利用された事例を伺いました。wenaシリーズは、通信機能、各種センサーなどを搭載したスマートウォッチの第3世代になります。

DMM.makeエンジニア:
やはり、スマートフォン対応もされておりますし、幅広い技術が必要だったという事ですね。(笑)

青野様:
そうですね。(笑)

DMM.makeプロデューサー、エンジニア:
長々とありがとうございました。
今後とも、宜しくお願い致します。

對馬様:
こちらこそ、是非、宜しくお願い致します。



今回のケースでは、デザイン検討フェーズで、より早くより最終製品に近い形で検証を行う為、金属3Dプリンターを用いてチタンを利用した事例をご紹介頂きました。

マスプロダクションサービスでは試作品造形・検証から最終製品の量産、そしてプリンターの導入まで企業様をサポートするサービスをご提案させていただきます。

3Dプリンターの導入についてなどご質問・ご要望がございましたらお気軽にお問い合わせください。